前回は、熱く遺言の必要性をお伝えしました。
では、遺言ってどうやって書けばいいのでしょうか?
大きく2つあります。自分で書く自筆証書遺言と、公証人のもと作成する公正証書遺言が一般的です。
おすすめは公正証書遺言です。紛失の心配もなく、公証人のお墨付きがあるので不動産登記の際の「検認」という裁判所の手続きも不要です。ただ、公証人の費用(3~5万円)が別途かかります。
一方、自筆証書遺言は、その名の通り自分で書く遺言のこと。最低でも「何を」「誰に」「どれだけ」相続させるのかを明確にすること、日付、氏名、押印が必要です。内容を秘密にできますし、原則費用もかかりません。自己保管だと裁判所での検認手続きが必要だったり紛失のおそれもありますが、検認や紛失については法務局への自筆証書保管制度(有償)で対策もできます。
しかし、法定の記載事項がない場合には遺言自体が無効になり法的効果のないものとなってしまうこと、一部金融機関では公正証書遺言でしか相続手続きが認められない場合もあるため、お取引されている金融機関・証券会社等に確認される方が良いでしょう。
なお、遺言は、認知症などの自分のことがわからない状態(意思能力のない状態)ですと、記載しても無効となります。
これは決してお歳を召された方だけでなくどの世代にも言えることですが、人間いつ何があるかなんてわかりません。
だからこそ、お元気な今のうちに、ご家族への「遺言」を作り、備えておくことが大切なのです。
●遺言のまとめ●
◎メリット | △デメリット | |
公正証書遺言 | ・公証人のお墨付きで金融機関の手続き面で不安はない ・紛失リスクなし | ・公証人のもと作成するので完全な秘密にはならない ・公証人等の費用がかかる |
自筆証書遺言 | ・内容を秘密にできる ・費用はかからない ・法務局の保管制度で検認不要になり紛失も防止可能(有償) | ・対応不可な金融機関もある ・自己保管だと紛失の可能性もあり、登記の際「検認」が必要 ・きちんと作成しないと無効になりえる |
遺言は、資産や御遺志を次世代へきちんとつないでいく、ご家族間の大切なメッセージ。
遺す方も遺される方もお互いにとっての安心のため、備えておかれることをおすすめします。
次回は、「家族信託」についてお話します!