連続シリーズで投稿しています生前対策、今回は「任意後見契約」です。
あまり馴染みのない言葉かと思います。
よく聞かれるいわゆる「成年後見」は、認知症などで判断能力が著しく低下した方(被後見人といいます)が、ご自身では困難になった身上監護(病院や施設の契約などより安心安全に生活できるような環境を作ること)・財産管理(財産の入出金をきちんと管理してその方の財産を守っていくこと)を、家庭裁判所の審判により就任した「後見人」が行います。
「任意後見契約」は、お元気なうちにあらかじめ後見人となる方と「もしも」に備え契約をかわしておくところに違いがあります。契約書は、公正証書(公証役場で公証人の認証をいただく)で作成します。
任意後見契約と一言で言っても、ご本人様のご希望や環境に合わせて様々な内容を含むことが特徴です。
その一例が「見守り契約」です。
これはお元気な間は月1回お電話、数カ月1回のご面会などで「お変わりはないか、お困りごとはないか」を確認します。
この時に何か認知症のような異変を感じたら、すぐにケアマネさんやかかりつけの病院などと連携し、スムーズにご本人様にできる限りご負担なく後見へと移行できるようにするものです。
見守り契約がない場合、ご本人の変化に気づくことができず、せっかく任意後見は契約していても後見開始が遅れたり、ご本人が気づかぬうちにできないことが増えてお困りになってしまうリスクがあります。「見守り契約」はそういったことを回避する意味で非常に大切だと私は思っています。
他に「任意代理契約」もあります。「代理」とあるように、例えば、認知症ではない(後見にはならない)けれども、入院して自分が動けない場合などに代理で動いてもらうことを契約に入れておくものです。
このように任意後見契約は、その方のご事情やご要望に合わせて契約書を作成していきます。
こういったおひとりおひとりに合わせて、長期間に渡ってご自身の今後を見据えて「もしも」に備えることで、安心して何より心身ともに健康にお過ごしいただく、司法書士の重要な役割と考えています。