さて、シリーズでお伝えしている生前対策。今回は「家族信託」です。
厚労省の研究班によれば、2040年には認知症患者が高齢者の15%(6.7人に1人)、全国で約584万人と推計されています。
その対策として注目されているのが、銀行などでも取り扱われている「信託」。
これは生前対策の中でも当事務所もぜひおすすめしているものです。
例をあげましょう。
ある一家の父は高齢ですがとても元気!不動産や預貯金のほとんどは父名義だとします。
しかし、認知症になってしまうと口座も凍結されて入出金ができず、契約もできません。
預貯金を生活費に使い、現在の住居を売却して施設費用に充てる必要がでた場合は、どうすればいいのでしょうか?
成年後見制度も選択肢の一つです。
成年後見制度は、家庭裁判所へ申し立てて、財産管理・身上監護を行う法定の代理人「後見人」が就任します。
ご家族のいらっしゃらない方、もしくはご家族はいらっしゃるが多忙であったり遠方にお住まいや御高齢などの理由から財産管理が困難な場合には、有効な手段でもあります。
一方で、家族以外の第三者に父の資産の管理を任せるものですから、抵抗がある方もおられることも事実です。
また、この後見人には専門職が就任することが多く、その報酬(家庭裁判所が決めた額)もかかります。何より途中で成年後見をやめることは原則不可なのです。
他に方法はないのか?どうしておくべきか?
その解決策の一つとして「家族信託」をご紹介したいと思います。
簡単に言えば、父と信頼できる子の間で「この財産については、子に管理してくれるよう託しますよ」という契約をします。
これは公証役場で公証人のもと締結します。
不動産ならば、信託の登記(あくまで信託契約の範囲内で、管理や処分は子が託されている不動産ですよと示すもの)が必要です。
成年後見との違いは、基本的には、最初の契約や信託の登記などの費用以外にはかからないこと(成年後見は原則被後見人の方がお亡くなりになるまで続きます)。
何より、信頼できるご家族に任せることができるので、第三者の関与がないことなどがあります。
当事務所も家族信託はお取り扱いしております。
もし、ご関心のある方はぜひお気軽にお問合せくださいませ。